本サイトは2010年4月10日に開設し2012年秋に閉鎖したサイトです。「アイアムアヒーロー」映画化記念で期間限定公開中です。


サイト内の記事は連載当時に管理者個人の解釈で書かれたものであり、現在のストーリーとは矛盾していたり、一般的な解釈とは異なっている点があります。また現在の管理者自身の解釈とも異なっている点もありますが、手を入れず掲載しています。


現在はブログ「黒くないすべてのものはカラスではない」に内容を引き継いでいます。


アイアムアヒーローにまつわるエトセトラ

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 There're counter ZQNs

Frequently Asked Questions
FAQといっても、ネットで見かけた質問に勝手に回答をつけたり、
あるいは単なる自問自答だったりします。自問しているだけのことも
あります。回答、あるいは質問を募集中です。→
 トゥイター

[目次]

[単行本] 表紙絵の法則性[UPDATE !] [Top]
これまでの表紙の登場人物は下表の通りです。

表紙表紙表紙
1巻英雄2巻比呂美3巻ZQN  
4巻英雄5巻比呂美6巻ZQN  
7巻比呂美8巻9巻

6巻までは英雄→比呂美→ZQNの法則がありましたが、7巻目以降で崩れました。

3の倍数でZQNになるという法則が生きてるとすれば9巻はZQNになりますが、ここ4巻ほど御無沙汰の英雄も、そろそろ出番のような気もします。営業的には藪や比呂美を使うのが一番売れるでしょうね(営業うんうんをおいても8巻表紙の藪はカッコ良かった(´p`;))

結局次回の表紙が誰なのかは、まるで予想がつきません。

個人的には、82話で藪が背負った比呂美に語ったセリフ「ここを生きて出れたら温泉に行こう?」が表紙で実現したら嬉しいのですが、風呂ネタは7巻とカブるので無理かな?
[101話現在 2012/02/10]


[9巻] 9巻まだー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン[UPDATE !] [Top]
8巻末のおまけページに9巻は「2012年初夏発売予定」とあります。

初夏とは旧暦では4月、新暦では4月末~6月頭に相当します。スピリッツの単行本が毎月月末に発売ということを考えれば、6月(末)では初夏というには厳しくなりますので、言葉どおりの意味からすると4月末か5月末、ということになります。

comoiclistさんの4月発売予定コミック速報では、4月のリストには8巻は載っていませんでした。したがって現時点では5月末の可能性が高いと思います。

アイアムアヒーローは、週刊スピリッツに平均して3回連載→1回休載のパターンで掲載されており、単行本収録話数は11~13話(過去8巻の平均は11.625話)です。つまり単行本の平均発刊サイクルは約4ヶ月になります。8巻は1月末発売でしたので、平均発刊サイクル的にも次巻は5月末ということになります。

下表は8巻までの発売月一覧です(発売日は毎月月末)。
  1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2009年        1巻   2巻
2010年     3巻  4巻   5巻
2011年     6巻   7巻   
2012年 8巻   9巻
 ?
       
見ての通り、5月は8月、12月と並んでアイアムアヒーローの単行本的に「当たり月」でもあります。

もちろん編集部が「~月」と書かずに「初夏」と書いたのは、現時点では正式な発売月は subject to change だということでしょうから断言は出来ません。

管理人の予想(というか期待)では5月末が8割、6月、もしくはそれ以降が2割くらいの確率でしょうか。
[101話現在 2012/02/09]
[103話現在 2012/02/22 更新]


[1巻] 1巻表紙で英雄の立っている歩道橋はどこ? [Top]
練馬区三原台一丁目(目白通り)にあるこの歩道橋です。このストリートビューで見える「○○工務店」が、表紙では「花沢工務店」と変えられています。工務店左手の特徴的な樹木も、表紙では忠実に描かれています。

この歩道橋は1、2巻で何度も重要場面に登場し、三谷が壮絶な死を遂げたのもこの歩道橋の上でした。

英雄の持っている銃も重要なアイテムで、英雄が現実に対応し、立ち向かっていく覚悟を示すための試金石となります。

[2巻] 2巻表紙の女子高生は誰? [Top]
本作品のヒロインとなる女子高生、早狩比呂美です。

2巻背景には、3巻後半から4巻にかけての舞台となる樹海が描き込まれています。比呂美の持っている包帯も重要なアイテムとなると思われます。

[06話] タクシー事故のあった大木(三谷が怖い話をした、祠のある大木)は実在する? [Top]
実在します。こちらです。情報を提供していただきました>>245氏、ありがとうございました。

[07話] 英雄の持っている『女性器大図鑑』を買いたい。ぜひ買いたい。 [Top]
そのものズバリのタイトルの本は国立国会図書館NDL-OPACで検索しても見つかりませんが、アマゾンで検索すると、『女性器200大解剖図鑑』という本が一番近いタイトルのようです。

[09話] 英雄の回想シーンの中で、お互いを「黒川氏」「鈴木氏」と呼び合うのはなぜ? [Top]
漫画家(の卵)同士がお互いを「~氏」と呼び合うのは、目の前の相手も「~氏」と読んだ手塚治虫氏のひそみにならったものです。

[10話] みーちゃんをバスタブに沈めたのは誰? [Top]
10話の最後のページで、バスタブに沈められたみーちゃんが描かれています。

松尾先生の仕事場で、担当カズさんと連絡が取れないため仕事を中断し、皆を解散したときにはまだみーちゃんは健在でした(5月1日夕方18時過ぎ)。

翌日(5月2日)夕方、電話で呼び出しを受けた英雄が仕事場に戻ったときには、すでにみーちゃんはバスタブに沈められていたと思われます。また、同日夕方から夜にかけ、松尾先生は体調に異変を来たし(下半身の大量出血)、左目が充血(ゾンビ発症の初期症状)していました。

したがって、みーちゃんが刺され、縛られてバスタブに沈められたのと、松尾先生が下半身に傷を負い、またゾンビウイルスに感染したのは、5月1日の18時以降、5月2日の夕方までの間ということになります。

また、傷を負い、水に沈められても仮死状態で生存を続けていたことから、みーちゃんはその前にゾンビ発症をしていたことになります。

以上のこと、および後の三谷の証言から、おそらく仕事場で松尾先生とみーちゃんとの「不純異性交遊」中に(おそらはフェラチオ中に)みーちゃんが発症し、松尾先生の男性器に噛み付き、応戦した先生がみーちゃんを刺し、バスタブに沈めたものと思われます。その際、松尾先生もゾンビウイルスに感染したのでしょう。

ただ「チンコを食いちぎられた」というのは三谷の表現ですが、17話の描写でも実際に「食いちぎられた」のかは今ひとつ不鮮明ですし、男性器を「食いちぎられた」状態で半日以上原稿を執筆し続けたり、電話や会話をするのも常識的に考えてなさそうですので、おそらく実際には、男性器に噛み付かれ、大きな裂傷を負った状態だったのではないでしょうか。



[15話] 妄想矢島が朧な姿で現れ、消えた理由は? [Top]
妄想矢島は、英雄の独り言に対して都合よく相槌を打ち、期待通りの合いの手を入れてくれる従順な同意者として作り上げた、英雄の妄想上の話し相手です。英雄の話にツッコミを入れることはあっても、それは単に英雄が期待する通りのツッコミでしかありません。

15話で、ZQN化した徹子を組み敷きながら、英雄の中にはその首を切り落とすかどうかという葛藤がありました。

徹子を、この救いようのない状態から早く楽にしてやりたい、解放してやりたい、あるいはもしかしたら自分が解放されたい。しかし、生きた人間の首を切り落としても良いのか、自分にそれができるのかという葛藤です。末期癌で、ただ余命のあいだ苦しむしかないと宣告された患者の家族が味わうのと同じ葛藤です。

しかしもし目の前の徹子が、すでに死んでいる存在であるとすれば、それはいくらかでも、いや多大に彼の心の負担、あるいは背負い込むことになるであろう罪の意識を軽減してくれます。英雄には、目の前の徹子がもう生きてはいないという思い込み、確信が欲しかったわけです。

妄想矢島は、彼のその願望に呼応して現れました。矢島に、英雄の「期待する通り」の免罪符を与えてもらうためです。

しかし、英雄の中に確信が無い以上、彼の心の分身たる矢島が確固とした姿をとることはありませんでした。そして英雄が自分自身を騙せなかった以上、矢島は消え去るしかないのでした。
[72話現在 2011/04/24]


[17話] 東京の銭湯は朝7時前から営業してるの? [Top]
英雄が大家ゾンビから逃げ切った後、早朝にも関わらず、銭湯から裸の男性客達が逃げ出してくる現場に遭遇します。

この銭湯のモデルとなったのは富士の湯という銭湯です(ストリートビュー)。ネット情報によると「富士の湯」の営業時間は16:00~23:00ですが、東京には24時間営業の銭湯がいくつか存在するようです。作品内ではここも24時間営業という設定なのでしょう。もしかしたらゴールデンウィーク特別営業だったのかも知れません。

[22話] 電車が停車駅でも、踏切で人をはねても停車しないのはなぜ? [Top]
常識的に考えて踏みきりで人をはねた運転手がそのまま走行を続けることはありえませんので、停車駅で停車しなかったのも、「入門市」で突然停車したのも含め、運転手が正常な判断力を無くしている状態、つまりゾンビ化しているものと思われます。

また、「入門市」駅の電光掲示板では電車に一時間以上の遅れが出ており、すでにダイヤもメチャクチャになっているようです。

[27話] 英雄が巨大蛾に驚いた地下道はどこにある? [Top]
英雄が眠り込んだのは、中央自動車道の河口湖IC出口の東西をつなぐ歩行者用地下道です。英雄が入っていったのはその東側入り口で、フェンスを挟んで富士急ハイランド第一入園口西側の駐車場に面しています。ストリートビューでその入り口を確認することができます。

[31話/37話] 比呂美の歌っている曲のタイトルは? [Top]
31話の「いつの~ひにかぁ ぼくのことを~ おもいだすがぁ いい~」の曲は「セーラー服と機関銃」(歌:薬師丸ひろ子)、または「夢の途中」(歌:来生たかお)。37話で比呂美が来生たかおも聴くと言っており、後者の可能性が高いでしょう。

31話で、夜の樹海へ追い出されて以降の比呂美には、直接的描写こそありませんが、常にその意識の中に死、あるいは自殺についての思いがあり、この歌詞は、原曲の文脈からは外れますが、比呂美の心情を反映したものとなっています。

また、「セーラー服と機関銃」の方のタイトルも、この先の比呂美と銃の関係を暗示したものでしょう。

37話のつぶやき、「バカ、ドジ、マヌケ… 死ね、オタンコナス」の曲は RADWIMPS 「なんちって」。

ここでも、比呂美のつぶやく歌詞の中に、比呂美の心情が表されています。おそらく比呂美の靴を隠したであろう可奈子に対する怒り・憎しみが、これはストレートに投影されています。

[34話] 比呂美が英雄に手渡したペットボトルは何? [Top]
商品名の判別ができない程度にボヤかせて描かれていますが、デザインから判断して「午後の紅茶」でしょう。ちなみに、比呂美のモデルとされる蒼井優は、2008年4月から現在まで、キリン「午後の紅茶」のイメージキャラクターをつとめています。(情報提供:mh_narcissus16)

[36話] 一頁目、比呂美は「…あの、」の次に何を尋ねようとした? [Top]
ここで比呂美が尋ねそうなことは山ほど考えられます。38話で再度尋ねたように「動いているのに死んでいるの?」かもしれませんし、「なんで血を拭き取ってくれるんですか」かもしれません。あるいはあらためて英雄の説明を真面目に聞こうと「都内はどんなことになってるんですか」「どうやって樹海まで来たんですか?」「彼女はいますか?」などなど。

ただ、作者が1頁目の最後で比呂美に「あの・・・」と尋ねさせたのは、読者に「おっ、何を聞くんだろう」「英雄と、どんな話をするのだろう」と期待を込めてページをめくらせた瞬間に「!」と、ド肝を抜かせるための演出です。

作者自身、具体的な質問を想定していないという可能性も充分にあります。

[38話] 英雄はデブゾンビの前でなぜ口を押さえてるの? [Top]
紗衣ゾンビに眼球を潰されたデブ(可奈子)ゾンビがあたりを伺っているを見て、声を出したらヤバいと、瞬時に判断したのでしょう。

[38話] 紗衣ゾンビが木の上から比呂美のローファーシューズを落した理由は? [Top]
現時点(38話時点)では不明。比呂美の運動靴の盗まれた件(37話)に関連して、紗衣が何かを伝えようとしていたこと確かでしょう。

管理人の想像では、比呂美が樹海に出かけた後、宿舎でデブ(可奈子)が「比呂美の運動靴を盗んで屋上に放り投げてやった」と自慢でもするのを聞いて、紗衣の堪忍袋の緒が切れると同時にゾンビ化した、というような流れではないかと思います。いずれにしろ、もう一エピソードあるでしょう。

ちなみに教師は「かなり歩くから運動靴忘れんなよ」と言っていました(37話)が、運動靴を盗まれた比呂美は、自然学校にもローファーシューズで参加し、そのため英雄に手を引かれて樹海を走るとき、簡単に靴が脱げて転倒してしまうことになりました。



[44話] なぜ森の中から大勢のゾンビが現れた? [Top]
こちらの地図(F)を見れば分かるように(DQN車の停まったのが地図の「スバルライン入り口」交差点西側)、この森の南側に山梨赤十字病院という病院があり(「アイアムアヒーロー」内では「山梨赤字病院」)、その病院内で発症したゾンビたちが、おそらくは英雄の撃った銃声に誘われて北に進み、ちょうどDQN車の走り出すタイミングで国道139号(富士パノラマライン)に達したのでしょう。

実際、外見や着衣から、ゾンビたちはいずれも医師、看護婦、もしくは患者のいずれかに見えます。中には開腹手術中だった患者と思われるゾンビも含まれています。

ただ、比呂美と英雄を追ったナックルウォークゾンビは、医者か患者か、ちょっと判然としません。

[50話] 群集のなかに矢島が垣間見えたわけは? [Top]
5巻第50話、68~69ページの見開き中央左手に、一瞬だけ妄想矢島が再登場します。

英雄の中にはいつも主役になりたいという思いと、願望とは裏腹に脇役の座に甘んじ続けてきたという煩悶がありました。

見開きのページには、神社の群集の中から、アジ親父の誘いを振り切り、階段を上って「舞台の中央」に立った英雄に、多くの群集の視線が集まった様子が描かれています。

銃を持った人間が階段の上に立ったのですから、そこに視線が集まるのは当然なのですが、人の注目を一身に浴びた経験の少ないであろう英雄にとって、これは一瞬自分が「主役」になったという錯覚を生んだ出来事であったのでしょう。

視線が集中しているのを意識した瞬間、英雄には群集が自分への支持者、共感者と思えたのかもしれません。そうだとすれば、英雄にとっての共感者の具現である妄想矢島がその中に垣間見えたのも、彼の心にとっては自然な働きだったのかもしれません。

武者震いし、鳥肌のたった英雄の一世一代の猪木のモノマネは、しかし見事にスベります。群集は冷淡に、あるいは無関心に英雄を無視しました。

錯覚の解けた英雄の目に、すでに矢島の姿はありませんでした。
[72話現在 2011/04/24]


[54話] 山荘で比呂美が右手に持った木刀のようなものは何? [Top]
富士登山で使われる八面体のツエの「金剛杖」です。富士山五合目の山荘などで売られており、登山道の各山荘で、金剛杖に記念の「焼印」が押してもらえます。山荘「茎屋」では、子供用\500から、特大\1,100の7サイズが販売されているようです。

54話9ページ目2コマ目、比呂美が金剛杖を見つけたときに「おぉっ」と叫んだのは、もともと金剛杖を知っており、見つけたのが嬉しくて叫んだのか、護身用に使えると思ったのか、それとも彼氏へのおみやげにちょうどよいと思ったからでしょう。

1コマ目、比呂美がコマで何か選んでいるのは、おそらく入院中の母親へのお土産だと思われます。1番下の4コマ目、比呂美がこたつに座ったとき、そのお土産を脇に置いています。

やはり金剛杖は、彼氏へのおみやげだったかもしれません。

3コマ目で、英雄「すみません手持ちが少なくて…」荒木「いやいや、ガラス代とお土産代でこんなもんだろう」のやりとりがあり、背後で、そのやりとりを無視するかのように、右手に金剛杖をかかげた比呂美が店奥のノレンの裏を覗いています。

本作「アイアムアヒーロー」で何度も使われている、ストーリーの一カットだけを描くことにより、読者に前後のストーリーを想像させ、読者をストーリー作りに参加させる技法が、ここでも使われています。

二人が少し慌てた風で比呂美の割ったガラス代と、比呂美が取ったお土産の代金を置いているのは、二人の良識を表したものでしょう。その代金を比呂美が払うように頼んだのか、あるいはまったくその意思のない比呂美を見て、いやいやそれはまずいでしょうと二人が勝手に払ったのかは描かれていません。

奥を覗いている比呂美が右手に金剛杖を持っているのは、感染者が出現するかもという警戒心でしょう。奥を覗いているのは、店の人がいないか探しているのか、それともトイレを探しているのかもしれません。

自分のお土産の代金を払っている二人を無視するように比呂美が背を向けているのは、もしかしたら、このコマの前に、お金を置いておくべきだとか、どうせ無人なのだからもう勝手に持って行ってもいいじゃないのとか、軽いやりとりがあったのかもしれません。

生死にかかわる状況で、あるいは秩序の崩壊した社会において、形骸化した法に拘泥しない、ある意味「柔軟な」思考をみせる比呂美が、割ったガラス代の弁償にまで気をまわさないのは当然かもしれません。

そもそも、すでに通貨に価値があるかどうかすら疑問な状況です。ただ、比呂美の手にしたお土産が、もし入院中の母へのお土産であるとすれば、また別の考え方をしたのかもしれません。

4コマ目の「まあ、色々めんどくさいことは抜きにして!」というセリフの「めんどくさいこと」は、そうしたお金のことや、勝手に店にあがったことをについてのやり取りのあったことを暗示していると思われます。
(ご協力:Tamago_is_様)



[65話] 比呂美が英雄の頭を踏んだのはうっかり?わざと?
[Top]
65話15ページ目の最後のコマ(最下段左)で、比呂美が英雄の頭を踏み、踏まれた英雄が玄妙な表情でそれに耐えているというコミカルなシーンが描かれています。

ZQNが襲ってきたため、屋上から降ろされたハシゴに「早く登れっ」とせかされ、最初に荒木、次に比呂美、そのあとに英雄が続いて登るシーンです。

軽く読むと、zqn症状のために体のコントロールのおぼつかなくなった比呂美が、うっかりハシゴの段を踏み外し、英雄の頭を踏んでしまったように見えます。

しかし、zqn症状に関して言えば、罹患した者は精神活動こそ極度に衰えますが、運動能力はむしろ向上するものです。たんに馬鹿力を発揮するだけではなく、理想的なフォームで全力疾走したり、ひらりと壁を飛び越えたり、バタフライで豪快な泳ぎを見せたりします。

実際比呂美も、見開きページをはさんだ次のコマで、登りきった屋上の塀の上にひらりと立ち、読者をヒヤリとさせたほどです。ハシゴを登るというような動作は、動機付けさえ伴えば、むしろ罹患者のほうが得意とする運動でしょう。

比呂美が英雄の頭を踏みつけたのは、意図的な行動だと思われます。

一つ前のコマで英雄が「比呂美ちゃんハシゴ登れるっ?そう手と足を交互にかけてっ」と叫んでいます。もちろん比呂美のことを心配してのセリフなのですが、正常な判断力のある大人が真面目に言われれば、これはムッとするセリフでもあります。

問題は、このときの比呂美が正常な判断力のある状態かどうか、ということです。ここであらためて63話、64話、そしてこの65話を注意深く読み返すと、比呂美の意識が少しずつ回復し、周りの光景や、自分の置かれた状況を把握する力を徐々に回復していく過程が描かれていることに気づきます。

正常とまではいかなくとも、この段階で比呂美は、それに準ずる段階まで回復してきているのではないでしょうか。

大きなマスクをかけられているので表情は半分隠れていますが、「手と足を交互にかけてっ」と言われたときの比呂美の顔は、無表情ないしちょっとムッとした表情に見え、吹き出しの「・・・」は内心の軽いイラッを示したもののように思われます。

このシーンで連想するのが第4巻41話119ページの二人のやりとりです。英雄に「絶対に引き金にさわらないでね」「引き金には絶対さわらないでね」「あと引き金には撃つ瞬間まで絶対にさわらないで」としつこく言われて軽くムカついた比呂美が、小声で「っさいな」とつぶやいたシーンです。

今回の比呂美の反応もこれと同じ心の動きに違いありません。

逆に言えば、「っさいな」「ちっ」の系列に連なるこの小さなエピソードこそ、比呂美の意識が順調に回復してきていることを示すエピソードと言えるでしょう。
[66話現在 2011/02/08]


[66話] 比呂美が藪に迫ったわけ
[Top]
66話に、半覚醒状態の比呂美がスタスタと藪に歩み寄るシーンがあります。この行動の意味はなんでしょうか?

[7ページ目下段から]
・立ち止まり、二人の方を振り向く藪(やぶ)。
・その視線に気づく英雄。
・さらに二人を凝視する藪(実際は比呂美のほうを注視している)。
・自分が見られていると勘違いした英雄は、あらぬ想像に相好を崩す。
・そのとき、比呂美がスタスタと英雄を追い越し、藪に歩み寄る。
・間近に向き合い、無言で見つめ合う藪と比呂美。
・比呂美の行動に驚いた英雄が「えっ!?」と声を出す。
・それを「しー。」と制した藪は、なおも比呂美を見つめる。

この一連の行動の意味は、なかなか取りづらいものがあります。

藪が比呂美を注視したのは、比呂美が感染者ではないかと疑い、観察するためであるのは間違いないでしょう。 しかし比呂美が半覚醒状態の意識のまま、その藪に歩み寄った理由は何でしょうか?

二人が間近に向き合ったコマの比呂美は、斜めうしろから描かれているため、彼女の視線がどこに向いているのかはわかりません。しかし、この姿勢で、視線が自然な方向に向いているのならば、間違いなくその先には、藪の咥えているタバコがあります。

もういちどこの一連のシーンの、藪の描かれた4コマを見直すと、いずれもさりげないようでいて、しかししっかりと口に咥えられた、あるいは指に挟まれたタバコが描かれています。

前話65話で、車窓からブランド店を見た比呂美は「ヴィトン買って・・・」と漏らしました。半覚醒状態であるだけにかえって比呂美は、本心を素直に言動に表す状態になっていると思われます。

登場以来、比呂美がタバコを吸うシーンはもちろん描かれていません。しかし女子高生だからといってタバコを吸ってはいけないという法はありません。いや、法律はありますが、吸わないという必然性はありません。

ちなみに比呂美は、お酒は多少たしなむようです(54話)。

英雄にも荒木にも喫煙の習慣は無いようです。もし比呂美が喫煙者であるならば、約1週間に渡って紫煙から遠ざかっていることになります。

果たして比呂美は、藪の吸うタバコに強く魅きつけられたのでしょうか?
[66話現在 2011/02/10]


[81話] 藪(やぶ)が病院に行こうと決意した理由 [Top]
比呂美の容態が重篤であることを看てとった藪は、比呂美を背負い、病院へ行くことを決意します。

目白に「病院なんてやってねーよ」と言われるまでもなく、聡明な藪に、病院がすでに機能していないであろうことが理解できないはずはありません。

最初にZQN感染者が連れてこられる病院は、最初にZQNが蔓延する場所であり、医者が真っ先にZQNの餌食になってしまうことは、比呂美と英雄が、パンデミック翌朝、病院からの患者・医者ZQNの群れと遭遇したことからも明らかです。それは藪にも、充分推測がついているでしょう。

それでもなお病院に行こうとするということは、藪の目的が、比呂美を医者に見せることではないことを意味します。すなわちそこに残されているはずの薬や治療器具こそが、藪の真の目的でしょう。

そして薬や治療器具があれば比呂美を救える、そういう前提があってこそ、地上に降りて駐車場を目指すというハイリスクな賭けは、意味を持ちます。つまりそれは、藪が病院に置いてある専門薬、あるいは治療器具について知識を持っていることを意味し、藪の職業が医療関係者であることを強く示唆します。

もし薬ではなく、外科的な治療器具を使おうとしているのであれば、藪は看護師であるより、医師免許の持ち主である可能性が高いことになります。
[88話現在 2011/09/17]


[82話] 仰向けに倒れているのは…[NEW !] [Top]
最終ページで銃を腕に仰向けに寝ているのは、首を切り取られたサンゴの死体です。

すぐ下のコマが英雄の顔のアップであるため、英雄が銃を奪還して仰向けに寝ていると勘違いしやすいのですが、シャツの図柄からサンゴの死体であることがわかります。絵でははっきり見えませんが、首が切り取られているはずです。

英雄はこのとき、シンク下の収納庫のようなところに潜んでいます。
[98話現在 2012/01/07]




[88話] 伊浦が自分の○○○をちぎった理由は? [Top]
物語の構成から判断すると、武装解除と思われます。

「伊浦→藪(やぶ)」の関係は、「徹子→英雄」、「紗衣→比呂美」のそれぞれの関係と相似形をなしています。

まず三人は、いずれも心の中に相手に対して強い好意を持ちながら、それと矛盾するような、相手を傷つける行為をしていました。

伊浦が自覚的、非自覚的のいずれかにせよ、藪に対して好意を持っていたのは、以下のことから明らかです。

伊浦の88話の最後のセリフで、意外なことに彼は藪とセックスをしていなかったことが判明します。目白が、そしておそらくSANGOも、藪を「性奴隷」として扱ったのとは対照的です。

藪の車の鍵のことを知ったいきさつや、藪に先回りして駐車場で待ち構えていたことからも、伊浦が藪に対してストーカー的な関心を持っていたことが伺えます。

また、過去に藪は、支配者-非支配者の関係からすれば、伊浦に対し何度も思い切った意思表明をしてみせ、伊浦はたいていのケースで、それを受け入れました。他の屋上の被支配者に比べ、明らかに特別扱いをしています。

一方で、支配者グループの一員としては、伊浦は被支配者層の藪に対し、極めて人格を無視した行いをしてきました。それが伊浦の発案なのか、SANGOや他のメンバーとのパワーバランスゆえに彼らの発案に抗し得なかったのかは、紗衣と紗衣の取り巻きと比呂美とのケースと同様、断言することはできません。

第二の共通点として、徹子、紗衣、伊浦は、いずれもその好意を持った相手の前でZQN化するに至っています。

その際、徹子と紗衣は、自身の中の攻撃性が相手を傷つけることを恐れ、自ら武装解除しました。徹子はその歯を意図的に抜き、紗衣は比呂美を探して樹海に出る前、自らの口に包帯を巻いたのです。

伊浦が自身の男性器を引きちぎったのも、物語的には前二者のケースに対応していると思われます。

伊浦のケースでは、ZQNとしての攻撃衝動が藪を傷つけるより、彼の抑圧された性衝動が、藪を傷つける可能性が高かったからでしょう。

実際伊浦の性格は、SANGOとは対照的に、理知的であると同時に抑制的な性格です。

SANGOが、秩序の崩壊をむしろ歓迎し、そのなかで刹那的に生きようとしたのに対し、伊浦は、崩壊していく社会の中で、事態を把握し、新しい秩序を模索しようとしていました。

SANGOが、常に感情の赴くままに行動したのに対し、伊浦は理性のもとに行動し、SANGOの抑え役に回っていました。そして英雄の銃を奪う算段を巡り、SANGOにヘゲモニーを奪われてしまったときですら、冷静に感情をコントロールし、事態に対応しました。

藪に対する私情を抑えてきたのも、あるいはおそらくは藪に対して持っていた性衝動を抑え込んでいたのも、その抑制的な性格がゆえでしょう。

しかし最後の最後に来て、伊浦の感情は抑制をとかれます。

そもそもZQNの発症過程は、最初に人格と理性の崩壊から始まります。その結果、感情を抑えることが出来なくなり、感情失禁(情動失禁)の状態に陥ります。また、統一的な自我が失われ、四散五分した意識が、勝手に自己を主張し始めます。タクシー内でのアベックや運転手の発症過程がそのわかりやすい例です。

藪の目の前で自慰をし、声高に自慢話をする伊浦の姿こそが、伊浦の表層自我の抑えこんでいた、彼のエスでありイドであるのでしょう。

自身の男根を引きちぎる寸前の伊浦のセリフには、彼の脳内での、藪とコミュニケートしようとする表層自我と、快楽原理のみの性欲人格との、激しい主導権争いが描かれています。名作『寄生獣』で、複数のパラサイトに寄生された人間の体内での、パラサイト同士の主導権争いを髣髴させるシーンです。

この戦いで表層自我が勝利するためには、「敵」の武器本体を、自らの手で取り除くしか方法がなかったわけです。
[88話現在 2011/09/17]
[2011/12/21 小変更]




[93話] 空に手を伸ばしたZQNは誰?[NEW !] [Top]
93話冒頭に、空を飛ぶ鳥に向かい手を差し伸ばすZQNが登場します。

母親ZQN

このZQNは、90話で登場し、橋の真ん中を駆けてきて91話で英雄に腹部を撃たれ、92話では藪のマーチにはね飛ばされ、メガネは吹っ飛び顔面は陥没し、おまけに左手は折れ曲がりと、散々な目にあった中年女性ZQNです。

英雄が知らずに狙撃したこのZQNの正体は、おそらく屋上で祖母と一緒に暮らしていた少年の母親です。

75話でブライが語っています。「ばーさんと孫がいるだろ。」「あの子の家族…かーちゃんも下にいてよ。」

また、91話の女性の顔と93話の少年の顔を比較すれば、顔の輪郭・鼻の形の相似に気がつきます。

モール編最終話となる93話は、荒木が自らを犠牲にして陸上ZQNを倒し、少年を救う物語でした。そしてその冒頭、天に手を差し伸べた瀕死の母親ZQNの目に映っていたのは、鳥の姿とはまったく別のものだったはずです。

言い換えれば第93話は、少年が大人たちに希望を託された回でした。
[97話現在 2011/12/30]


[97話] カズはどこから感染した? [Top]
主人公鈴木英雄の担当編集、カズこと佐田和也。

台湾編最後の夜。2009年5月3日日曜日深更。

日本では、富士吉田市で樹海に彷徨いこんだ英雄が暗闇に恐怖してうずくまり、宿舎でじゃんけんゲームに嵌められた比呂美が深夜の樹海に追いやられた、ちょうどその頃です。

カズは静かに発症して行きます。

カズはいつ、どうやって感染したのでしょうか?直接的には、カズがカオリや他のZQNに噛まれた描写はありません。しかしカズの左手の甲には、カオリと揉み合ったときに爪でかかれた深い傷が描かれています。

ここで思い起こすべきは、樹海で英雄が、首吊りZQNの血が比呂美の目に入らないように拭き取るシーン(36話)や、モール屋上駐車場で薮こと小田つぐみが伊浦に告げた「かまれなくても目とかキズ口から感染経路はあるわ」(89話)のセリフでしょう。

またこの97話には、ZQNの初期症状が露わになったカズが「ふぅ・・・目がかゆいな」とつぶやきながら(習慣的と思われる動作で)目をこする描写があります。

これらの示唆を素直に受け止めれば、カズの感染経路は、カオリに引っかかれて菌の付着した手の甲で顔の汗を拭い、その時に眼球から菌が侵入したもの、と考えるのが自然でしょう。
[97話現在 2011/12/21]


[97話] カズの書き遺したこと。[NEW !] [Top]
97話ラスト。しずかに発症し混濁していく意識の中でカズはメモを書き綴ります。

「あの女を連れてきたのは間違いだった」の後にひたすら繰り返される乱れた筆致の「ごめんなさい」。これは誰に対する謝罪でしょうか?あの女=カオリに詫びているのでしょうか?

取材にかこつけた不倫旅行。同行させた新人漫画家カオリは、カズにとってはセフレであり軽口のやりとりを楽しむ仲であっても、それほど深い同情心を持つ相手ではないようです。

事実、変貌したカオリに対する攻撃は、それがおそらく何らかの格闘技の鍛錬によって身につけた反射的なものであったにせよ、容赦のない攻撃でした。しかし、その攻撃の手はピタリと止まりました。

ZQNと化したカオリが腹部をかばい「パパ」と呼びかけた瞬間、カズは攻撃の手を止め、その場から逃げ去ることを選択したのです。カズの謝罪は自らの子を宿した母子、なかんずく我が子に対するものであったかもしれません。

その後、脳内で編集長に就任したカズは、さらに乱れた筆致で「ズズキヒデオマンカ(マンガ) 連載開始」と記しました。彼が編集長に「就任」して最初に下した決断が、あれほど全否定した英雄のネームの採用だったのです。この評価の逆転は何によるものでしょうか?

カズ「フフフ」

まず、英雄がネームを持ち込んだとき、カズが最初から冷淡な対応をした理由が、英雄が自分の愛人カオリと連載枠を争うライバルであることに一因があったためだったとすれば、それはカズの意識下で負い目となっていたはずです。

また、打ち合わせの最中に乱入し英雄のネームに高い評価を与えたのが、人気と実力を併せ持つ作家中田コロリであることもカズの意識下に影響を与えた可能性は高いと思います。

しかし台湾旅行初日5月1日、昼食の席でカオリと話した内容からすると、この時点でカズは英雄に対する厳しい評価を変えていません。

その後、カズは携帯をスられて編集部や作家との連絡手段を失い、翌5月2日には彼や台北を襲った騒擾により日本との連絡自体が取れなくなります。したがってカズが評価を変えたのは、外的な理由ではなく、カズ自身の内的理由によるものです。

カズの心が変わった内的理由とは、言うまでもなくZQN発症でしょう。ZQN発症過程では、知性、理性、合理的判断など意識の活動は低下し消失していきます。そして感情、情動、攻撃衝動・摂食衝動など意識下の精神活動・本能的衝動が顕わになり超越するようになります。

人の意識と意識下の心は必ずしも「一心同体」ではありません。理性がダイエットしようとし禁煙を決意しても、意識下の心は、脂肪を蓄えようとしニコチンに依存しようという体の仕組みに忠実であろうとし抗います。

愛憎に関してはまっこうから意識と意識下の心が対立することもしばしばです。愛憎表裏一体と言われるように愛は容易に憎しみに転化し、憎しみの陰には対象への強い関心が秘められています。

カズの意識は、表面では英雄のネームを全否定していながら、意識下ではそれに強い肯定を与えていたということなのでしょう。

カズのメモの最後は、もはや判読も難しい文字で記された「 ヘンシュ(ウ)ブに行かないと」の一文で締めくくられました。

編集者の気持ちは私にはわかりませんが、作家に新連載決定を伝えるときの気持ちは、打ち切りを伝えるときの気持ちの対極にあるものでしょう。編集長として編集部に凱旋し、英雄に新連載を伝えようという高揚とした気持ちで、ZQNと化したカズは部屋を出たはずです。

しかし、カズのメモもカズが英雄に伝えようとした言葉も、台湾に遺されたまま英雄に伝わることはありません。紗衣の伝えようとした想いが比呂美に伝わることなく樹海に消えて行ったのと同様です。
[97話現在 2011/12/30]




[全般] 比呂美の顔の右側にだけ症状がでる理由[NEW !] [Top]

半感染状態にある比呂美。その症状は、顔に関してはほぼ右側にだけ、特に右目に強く表れており、左目は健康時と比べて変化は見られません。

比呂美感染時の目
(7巻77話)

半感染状態にあるのだから症状も顔の半分しか出ていないというのは理屈が通っています。しかしそれが左側でなく右側であることに何か意味はあるでしょうか?

比呂美が感染したのは、おそらく神社で乳幼児ZQNに首筋を噛まれたのが原因です。比呂美の噛まれたのは、首筋の左側でした。

首筋を噛まれる比呂美
(5巻49話)

ウイルスが脳に達する経路として、血管の血流に乗って運ばれる場合と神経系を伝搬する場合の二通りがあります。乳幼児ZQNに噛まれたときの比呂美は、血管に損傷を受けるほどの傷は負っておらず、ZQNウイルスは神経系を介して脳に達した可能性が高いと思われます。

血流に乗って運ばれる場合より、神経系を伝わる方がウイルスの伝搬速度は遅く、比呂美の発症が通常より遅く、半日経過してからだったのも、それが理由かもしれません。

さて、ZQNウイルスが神経系を介して脳に移動したのだとすると、最初に辿りついたのは至近側の左脳であると考えるのが自然です。御存知の通り、脳の左側は体の右側の部位をコントロールします。

比呂美の症状が顔の右側にだけ現れているのは、比呂美の脳内の感染が、左脳(の一部)にとどまっているからかもしれません。

同じように手の甲を強く噛まれた英雄が感染もしくは発症しなかったのは、首筋より手のほうがはるかに遠い部位であるため、ウイルスが脳に達しなかった、もしくはまだ達していないからだと思われます。

[98話現在 2012/01/09]



[全般] ゾンビ発症までに時間差があるのはなぜ? [Top]
ゾンビ症状には、噛まれて数十秒から数分で発症する急性のゾンビ症状と、最大数日で発症する遅効性のゾンビ症状があります。漫画内の描写では、噛まれた部位が脳から遠いほど発症期間が長くなるようです。

このことは、ゾンビウイルスが脳に作用することによりゾンビ症状を発症させることを強く示唆しています。詳しくは、ゾンビに関する考察をご覧ください。

また、徹子の場合のように、噛まれた相手が子供の場合に発症が遅くなるとすれば、ウイルスの量によっても発症までの期間が影響されている可能性があります。

遅効性の場合、ゾンビ症状に先行して、体のだるさ、悪寒、関節の痛みなど、インフルエンザ様症状が現れます。このことはゾンビウイルスがインフルエンザウイルス由来であることを示唆しているといえます。

徹子ゾンビ、首吊りゾンビは、体の腐敗が進行していることから、一度死亡した後にゾンビとして生き返っているように見えます。しかし心臓が停止し、脳が不可逆的な機能停止に陥った後にその活動を再開し、生前の思念をも継承するするというのは、生物学的に無理がありすぎますので、ゾンビウイルスによって賦活された脳幹および心臓が、最低限の機能を維持していたと思われます。



[全般] 比呂美のzqn症状が軽症である理由は?
[Top]
これは単純に、比呂美の体内に侵入したzqnウイルスがごく微量であったおかげと思われます。

本サイトでは、いくつかの傍証から、zqnウイルスは新型インフルエンザのさらに変異したもの、という前提で記載しています。

インフルエンザウイルスは細胞内寄生を行うRNAウイルスであり、そのため細胞外では短時間しか生存できない、つまりもともとそれほど感染力の強くないウイルスです。実際インフルエンザの空気感染はまれで、唾液等の飛沫感染が主とされています。

その変異したzqnウイルスは、変異の過程で自然感染力はさらに弱くなっているようです。おそらく細胞外では即座に死滅し、そのため、感染者ときわめて近距離で接触しても感染は免れるのでしょう(英雄と徹子のケース)。つまり感染するのは、感染者の体液が直接皮下に浸入した場合に限られます。

しかしzqnウイルスに感染した宿主が極めて他者に攻撃的になることにより、具体的には被害者に噛み付き、体内に唾液を侵入させることにより、結果として自然感染の場合より、感染速度が爆発的に速まっています。

比呂美の場合、一つには彼女の毛深さのせいもあり、皮膚が肉眼では判別できない程度しか噛み切られておらず、また付着したウイルスも濡れティッシュで拭き取られたため、体内に侵入したウイルズはごく微量だったのでしょう。

ちなみにzqn症状は、通常のインフル症状とはまったく別の機序で発症するものと思われます。おそらく脳細胞、特に脳幹部分のニューロン接合部分、つまりシナプスと強く親和し、シナプス間パルスを異常発火させ、感情面では宿主を激しく興奮させて特に攻撃衝動を強め、肉体面では心拍数や筋力を本来そなわっているリミッターを超えて強めるものと推測されます(別項)。

比呂美のzqn症状が軽症である理由としてもう一つ考えられるのは、比呂美がもともとウイルスに強い、つまり免疫力の強い体質であったという可能性です。5巻53話123ページ最下段で、

英雄「さっみぃ~~」
比呂美「そーですか?」

というやりとりが描かれています。最初に二人が樹海で出会った夜も、英雄がさかんに寒がっていたのに対し、比呂美は、スカート下にジャージこそ履いていたものの、さほど寒がるそぶりを見せず、寝ている英雄に自分の上着をかけたほどでした。

こうした描写は、比呂美が普通より高体温質であることの示唆とも考えられます。一般に、低体温質より高体温質の人のほうが免疫力が強いことが知られています。ここによると「平均体温が1℃下がると免疫力は約37%下がり、平均体温が1℃上がると免疫力は約60%活性化するといわれている」そうです。

高体温体質のおかげで、比呂美の体は侵入したウイルスの活動を抑え、早期に抗体ができたのかもしれません。

さて、比呂美が神社で感染したのは都心パンデミックの翌日、2009年5月4日午後でした。発症したのはその翌日、2009年5月5日火曜日の早朝です。66話現在の日付は、掲示板の書き込み日からするとおそらく5月10日日曜日で、時刻は夕方近くです。

つまり66話現在、比呂美は感染から6日、zqn症状発症から5日ほど経過しています。

一般にインフルエンザは平均1週間前後で快方に向かいます。体内に抗体ができ、侵入したウイルスを退治できるのがそれくらいの期間です。

厳密に言えば、平均一週間というのは、インフルエンザが発症してから回復までの期間であり、zqn症状の発症からの期間とはまた別です。

インフルは感染してから一日から数日の潜伏期間を経て発症するのに対し、zqn症状は早い場合は数十秒、遅くとも一日くらいで発症するようです。おそらくzqnウイルスが、充分な量、血管に乗って脳幹に達した時点で発症すると思われます。

しかしいずれにしろ、感染からすでに6日目に達しており、インフルエンザウイルスがzqn症状の本体であれば、すでに比呂美の体内ではT細胞・B細胞によるウイルス迎撃体制が整い、ウイルス抗体が生産され、治癒に向かう段階にあるはずです。

しっかり栄養を取り、休養を取り、免疫力を高めれば、もうあと数日で比呂美の体内からウイルスは排出され、快癒することが期待できます。

ただ、64話で描写されたとおり、インフル症状とは別に、zqn症状の方は宿主が極度に興奮することにより、その症状が強く発現するようです。ウイルスが体内に残っているあいだは、このリスクが持続することになります。比呂美の体内からウイルスの消える前に、カタストロフィーの起こらないことを祈るばかりです。
[66話現在 2011/02/09]


[全般] 比呂美の学校は女子高?比呂美の学年は? [Top]
38話までの描写では、比呂美の通う高校に男子は一人も登場していないので、女子高と思われます。女子の比率が極端に高い高校である可能性もありますが、何となく(あまり上品でない意味で)「女の園」という感じがします。

ちなみに比呂美の通う高校のモデルとなった高校は女子高で、都内世田谷区にあります。偏差値で都内でも上位一割に入る進学校であり、岡江久美子がここの卒業生です。

比呂美や紗衣たちはそこそこ長くつき合っている雰囲気ですので、中学からの繰り上がりでない限り、入学したての1年生という可能性は低いでしょう(学校のシーンが描かれているのは4月下旬です)。また、ゴールデンウィークに自然学校に出かけるというのは、3年生にしてはのんびりし過ぎるような話なので、2年生の可能性が高いように思います。

ともあれ現時点では断定できるような材料はありません。比呂美があらためて英雄に自己紹介する場面があれば、あっさり答えが出るでしょう。

[全般] 僕も/私もまんこ数え唄を歌いたい! [Top]
まんこ数え唄は、英雄(もしくは作者)のオリジナルソングだと思われます。節回し、正確な振り付けは不明。何番まであるかも不明です。少なくとも七番まであるようです。樹海で比呂美が聞いて「ヤな歌」と言ったのは三番の部分。
 まんっ まんっ まんっ あ、そーれ(手拍子)
 
 ひとっつ♪ ひだひだ小陰唇~~~♪
 ふたっつ♪ ふたなりまんこはどこだぁ~~~♪
 みっつ♪ 見て見て私のまんこぉ~~~♪
 よっつ♪ よじれるまん圧 痛い~~~♪
 ?
 むっつ♪ ムリヤリ彼女が泣いた~~~♪
 ななつ♪ ?

[全般] デブ(可奈子)が憎たらしくて仕方ないんですが。 [Top]
可奈子がゾンビ化して最初に発した言葉は「みみんなぁ どこおぉ」と、仲間をさがす言葉でした。第33話で、紗衣たちが、ニガリ入りドクターペッパーを可奈子に飲ませる策謀を巡らせたとき、置き去りにされていた可奈子が教室に戻って最初に発したセリフ、「みんなどこ行ってたのぉ~」と、まさに同じセリフです。

紗衣の取り巻きの中でも可奈子は疎んじられ、悪戯の標的とされる存在でした。可奈子もそれを自覚しており、だからこそ仲間はずれにされたくない、一人になりたくないという意識が強かったのでしょう。

紗衣に対する嫌悪、取り巻き仲間への不満を内に持ちながら、完全に誰からも孤立してしまう恐怖から、片時と仲間と離れたくない、常にみんなと一緒にいたい、そういう意識が習い性となり、ゾンビ化してなお残る強い情念となったわけです。

可奈子の、比呂美に対する嫌みや悪戯は、そうした自身の不満のはけ口であると同時に、仲間内での地位確認のための行為であったと思われます。しかし、比呂美に好意を持っていた紗衣にとって、可奈子が比呂美にしたことは、許すことのできない行為でした。

互いに憎しみあっていた紗衣と可奈子は、最後には、ゾンビ化によっていっそう増幅された憎悪と、リミッターの外された筋力をぶつけあい、互いの体を解体してしまうほど壮絶な争いをすることになります。

[全般] 比呂美の家は貧乏?お金持ち? [Top]
39話現在まで、マンガ内で早狩家の経済状況に直接言及する場面はありません。いくつかの描写から推測してみます。

まず比呂美の通ってる高校は、私立の有名女子進学校をモデルとしており、仮に多少無理をして入学したのだとしても、平均以上の収入のある家庭と思われます。

比呂美の使っているW52SAは、東京では2007年6月8日に発売された携帯です(比呂美が自然学校で樹海に着いたのが2009年5月3日)。少なくとも購入時には経済状況には余裕があったでしょう。

常に携帯音楽プレーヤーを持ち歩いているようですが(機種名不明)、最近は数千円で買えるものもあり、これは判断材料にはなりません。また、これまでのところ、常に学校の制服やカバンでしか描かれていないので、持ち物や着ているものからも判断できません。

下校時には、100円ショップで売っているような透明ビニール傘をさしていましたが、これは紗衣も同様であり、学校の指定であるのかもしれません。

重要なのは、自然学校の前日に運動靴を盗まれたにもかかわらず、「運動靴を用意しろ」と言われた翌日の自然学校では通学用のローファーシューズを履いていたことです。紗衣とゆっくり話しながら下校できる時間的余裕があったのですから、忙しくて新しい運動靴を買えなかったということはないでしょう。

母親が入院しているという事情からも、もしかしたら一時的に、多少経済的に苦しい状況にあるのかも知れません。

自然学校での宿舎の夜、比呂美の取り出したガールズバーのティッシュを見た可奈子(デブ)に、「ここでバイトしてんの?」と突っ込まれた比呂美が、「うん、」「あ、いやいや…」と慌てて否定する場面があります。これは一見、たまたま話の進行上使った小道具のように思えます。

しかし、本作品での花沢氏の伏線の張り方、ヒントの出し方は、それを巧妙に、さりげなくストーリーにもぐりこませる一方、その伏線・ヒント自体をあらためて見なおすと、まったくストレートに(むしろストレートすぎるくらいに)、そして合理的に真相を指し示すものとなっています。推理小説で言えば、お行儀の良いヒントの出し方です。

そもそもここで「ガールズバー」のティッシュが出てくるというのがいささか不自然です。一般的なサラ金ティッシュとか、女性であれば美容院等のティッシュであってもよかったわけです。たとえばサラ金なら「何?あんたここで金を借りてるの?」「うん、」「あ、いやいや…」というやり取りでも普通に成立します。あえてガールズバーのティッシュであるところに軽い違和感を覚えます。

英雄に対するときの比呂美の描き方も、女子高に通う女子高生としては、妙に年上の男性慣れしている印象があり、実際にガールズバーでバイトしている可能性もあると思います(外れていたらごめんなさい)

[全般] 英雄の持っている猟銃(1巻表紙)の名前は? [Top]
先台のチェッカリングや機関部の形で判断して、SKBのMJシリーズのMJ7もしくはMJ9だと思われる、とのことです。情報提供は、掲示板/「レギ」様。ありがとうございました。

ネットで調べると、MJ7/MJ9の価格は数十万もするようです。また、メーカーのSKBは最近倒産したようです。

[全般] ユーチュブで流された動画の内容は? [Top]
初期にゾンビ化現象に遭遇した人が、その現象の説明と、それに対応する方法を動画で説明したものと思われます。またその中に一部、扇動的な内容が含まれていた可能性が高いと思われます。

具体的には、
  • (a) ゾンビの感染機構、すなわち、噛まれた人間が感染し、すぐに近くの人間を噛むようになること。
  • (b) 人類が生き残るには、ゾンビ化した人間をできるだけ早く取り押さえ、倒すしかないこと。
  • (c) ゾンビ化した人間は肉体的ダメージには極めて頑健となる。これを倒すには頭部、または心臓を破壊もしくは切断するのが有効である、もしくはそれしかない、ということ。
  • (d) いち早く状況を理解し、対応したものが社会秩序崩壊後の世界の支配者になることができる、ということ。
のうちの(a)~(c)の3点、またはそれに(d)を加えた4点だと思われます。

以下、その根拠を示します。作品中でユーチューブに言及されているのは、
  • (Ⅰ) 第18話三谷のセリフ中
  • (Ⅱ) 第49話アジ親父の演説を聴いていた群集のセリフ中
  • (Ⅲ) 第4巻巻末の資料(「厚生労働省」プレスリリース)に記された手書きのメモ
の三箇所です。

まず、(Ⅰ)におけるユーチューブに関連すると思われる三谷(および英雄)のセリフは以下のようなものです
  • (ⅰ) 「すげえ You Tube で言ってたとおりだ」
  • (ⅱ) 「チンコ食いちぎられて動きがにぶいのか?元先生よぉ。」(の直前)
  • (ⅲ) 「俺たちの時代がやってきたんだ。」(の直後)
  • (ⅳ) (英雄)「You tubeで言ってたことって何だったんですか。」(三谷)「…そんなことは言ってない」(後のページ)
  • (ⅴ) 「俺にっ俺がわかるわけないだろ」「あっバカ」「…だからさ、せいぜいわかってるのは、あいつらにかまれたら同じようになるってことだけだ」(後のページ)
  • (ⅵ) 「生き残るぞ英雄くん。この困難をのり越えれば世界は俺達のものだ。」(後のページ)
まず(ⅴ)後半の三谷「あいつらにかまれたら同じようになるってことだけだ」のセリフより、(a)についてユーチューブに説明のあったことが推察されます。また、この発言は、ユーチューブの説明が、感染の現象についてのみ語っており、その原因・背景については触れていないことを強く示唆しています。

また、三谷の(ⅱ)を受けての(ⅰ)の発言、および三谷の心臓、および頭部を狙った攻撃方法から、(c)についてもユーチューブの動画内にあったと推察されます。

重要なことは、英雄にユーチューブに尋ねられた三谷が、自らの発言を否認しようとしたことです((ⅳ)の後半「そんなことは言ってない」、および(ⅴ)の前半「俺がわかるわけないだろ」)。これは、ユーチューブの内容が、三谷がそれに共感を覚える内容でありながら、堂々と人に語るのにはためらいのある内容であることを示しています。

しかしそれが、(a)(c)の内容についてであれば、ともに戦う仲間として扱っている英雄にあえて隠す必要は無く、実際(a)については説明しています。

おそらく三谷の隠そうとした考えは、彼が思わず漏らした(ⅲ)「俺たちの時代がやってきたんだ」および(ⅳ)の「この困難をのり越えれば世界は俺達のものだ。」にあると思われます。つまり、ユーチューブ内に、(d)のような発言があった可能性が高いと思われます。

次に、(Ⅱ)のアジ親父関連のセリフを挙げます。
  • (1) (アジ親父)「感染した奴はもう人間じゃないんだ!!」「女、子供も容赦なく殺せっ!!」
  • (2) (アジ親父)「かまれた奴はすぐに、隣の奴を襲うぞ!!すぐにだ!!」
  • (3) (アジ親父)「あやしい奴はっ、すぐにみんなでとりおさえるんだ、全滅するぞっ」
  • (4) (アジ親父)「まだ人間の方が多いんだっ、チャンスは今しかないんだっ!!早く気づくんだよ!!」
  • (5) (群集内の若者)「どっかで聞いたなこのセリフ。」「あれだろ、ユーチューブの予言者。」
  • (6) (アジ親父)「もうすぐ法律もくそもねえ世界が来る。既存の価値観の崩壊だわ。」「いち早く気づいた奴がどんどん準備してるんだよ。」(このセリフのみ第50話)
群集内の若者の「どっかで聞いたな」は、少なくともその直前の(4)を指していますから、ただちにユーチューブ動画内に、(b)の内容のあったことがわかります。また、若者の発言が(1)~(4)全般を受けてのものであれば、それは(b)だけでなく、(a)および(c)の存在の傍証となります。

また、アジ親父は、(5)を確信的に主張しています。これは彼の体験、思想のみから出たものである可能性もありますが、ユーチューブの動画内に(d)的なものがあり、それに影響された可能性は排除できないでしょう。

最後に、連載時には無く、単行本で追加された(Ⅲ)について。
これは、リリース文書の終盤に、

(X) 情報が錯綜しております。現在私たちにとって最も重要なことは、一刻も早く正確な情報を掴み、それに基づき行動することだと思います。焦らず自宅に待機するようお願いいたします。

という部分があり、その前段部分三行が黒塗りで消された上、その脇に手書き文字で、
(Y)ユーチューブ?
と添え書きが記されているものです。

まず、手書き文字は、当然黒塗りされる前の文章を読んだ人、すなわち最初にこのプレスリリースを渡された者、もしくはこれを読み上げた厚生労働省事務次官によって書き加えられたものでしょう。

「ユーチューブ?」と書き加えられていることは、黒塗りされた部分が、ユーチューブと明記されてはいないものの、真っ先にユーチューブを想起させるものであることを示しています。すなわち、「インターネット上の動画サイト」というような表現が含まれていたのでしょう。

そして、(X)の部分が、黒塗りされた三行を受けたものであることは明白ですので、この情報が
  • (a) 錯綜した情報、
  • (b) これに基づいた行動をとるべきでない不正確な情報、
  • (c) 往来にでることを喚起するような情報、
であることがわかります。

このことは、すなわちユーチューブの内容が、やはり冒頭の(a)(d)、特に(b)(d)であることの根拠となるでしょう。

また、消された部分が三行、文字数にしてたかだか100文字前後の文章であることから、これが事態の詳細について触れたものではなく、一般的な注意事項であることも推察できます。

重要なことは、この三行が黒塗りされていることです。つまり、この部分を読み上げること自体が、人々を疑心暗鬼に陥らせたり、デマを誘発する内容であることを示しています。

以上のことから、黒塗りされた三行の内容を推察すると、以下の内容に近い文面でしょう。

現在、インターネット上の動画投稿サイトで、感染者を攻撃・排除することを推奨したり、社会的混乱に乗じ法秩序を乱そうとするような扇動が行われています。国民の皆様は、決してこうした情報に惑わされないようお願いします。


[全般] つまるところこの作品のテーマは? [Top]
一般に「アイアムアヒーロー」はホラー漫画・ゾンビ漫画として注目されています。もちろんそれは本作の重要な一面ですが、本質的には、登場人物の心の動きを緻密に描写した心理漫画であると思っています。

その側面を無視してしまった場合、本作について、特に樹海編に突入して以降、展開の遅いグダグダな漫画だという印象しか持てないことになるでしょう。あるいは10話までの流れを、単に11話を効果的に引き出すための伏線としか読めなくなるでしょう。

本作のテーマは、異常な状況下で出会ってしまった男女二人が、ベクトルは逆であるものの、共通して外界とのコミュニケーション不全を心の傷として抱え、それに悩み、克服していくところにあると思っています。

また、そのための重要な仕掛けとして、異常な状況下で強いられた行為を心の傷として背負うまでの流れを、英雄と比呂美がそれぞれ、まったく同じ経過を経ながらたどったのだと思います。

わかりにくいと思いますので、もう少し説明を加えます。

まず「逆のベクトル」についてですが、英雄には現実逃避的性向があり、対人関係を怖れ、忌避しています。比呂美は積極的に人に関わろうという性格であり、それゆえの軋轢に苦しんできたのでしょう。そして結果として二人とも、スムーズで対等な人間関係に、強い渇望を持ちます。

次に、二人が同じ経過を経て、同じ心の傷を負うようになったという流れについて説明します。

これは、40話の「詳しく」で書いたことの丸々繰り返しですが、実は11話で英雄が徹子の部屋を尋ねてから最後にその首を切り落とすまでと、36話で比呂美が紗衣に追われてから最後にその頭を銃で撃つまでは、計算したかのように正確に同じ流れをたどっています。

(1) ゾンビと化した後も、徹子(紗衣)は英雄(比呂美)を襲おうとはしなかった。少なくとも、非常に抑制的な攻撃であった。
(2) むしろ徹子(紗衣)は、英雄(比呂美)を襲うとした新聞配達Z(可奈子Z)に戦いを挑み、自らの体を損傷しながらも撃退する。
(3) これはささいいな相似であるが、英雄は徹子Zにティッシュを噛ませ、比呂美は紗衣Zに枯れ枝を噛ませた。
(4) 少し順番が後先するが、ゾンビと化した徹子(紗衣)を見ながら、英雄(比呂美)は、徹子(紗衣)の自分に対するメッセージを読み取ろうとする。
(5) だが英雄(比呂美)は、徹子Z(紗衣Z)の口からたまたま漏れた言葉に激高し、包丁(銃)を手にする。
(6) 若干の躊躇の末、あるいはなかば偶発的に、英雄は徹子の首を切り落とし、比呂美は紗衣の頭を撃った。
(7) 英雄の手元には形見となる徹子の歯が残され、(おそらく)比呂美の手元には、紗衣の巻いていた包帯が形見として残される。

こう列挙してみると、「計算したかのように」ではなく、作者は明らかに計算して、二人にまったく同じ心の傷、あるいは原罪、トラウマを負わせようとしたことがわかります。

その意味で、比呂美が結果として紗衣Zを銃殺してしまい、英雄と比呂美の相似関係が完成した42話で、ようやく物語の序章が終わったのではないでしょうか。




比呂美

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