アイアムアヒーローにまつわるエトセトラ
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[徹子]
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[比呂美]
名前
鈴木英雄
ペンネーム
鼻糞林檎
年齢
35歳
登場
1話より全話(32話のみ歌声だけで登場)。
[目次]
プロフィール
三つの妄想
心の問題
徹子
銃
[プロフィール]
主人公英雄の最も恐怖する深夜の妄想。そこに登場する魑魅魍魎の正体は、すなわち彼の世界に侵入してこようとする他者のシンボルであり、なかんずく他者の視線のシンボルである。
そして、この妄想の襲ってくるのは、辺りが闇に包まれ、他者の気配が消えさったときである。
「だれかとつながりたくて」「だれともつながりたくない」。その矛盾に逃げ場を無くした彼の心の葛藤が、絶対的孤独な状況に置かれたとき、決してつながりたくない他者を具象化する。
鈴木英雄35歳。メジャー誌「ストリップ」にデビューを果たしたものの、半年で連載を打ち切られ、現在は漫画家アシスタントとして不遇をかこっている。おみくじを引けば、三年連続「凶」。
幼少時代、学生時代と、周囲に溶け込めず、自我の成長を阻まれてきた彼も、その逃避的性格を妄想の中に押し込めながら、自分の人生においてだけは主役でありたいと懸命の努力を続けてきた。
しかし彼の努力は報われず、認めてほしい相手からも、望む評価を得られない。日々の生活に倦む彼は、ときに脇役としての人生に甘んじようともする。
「生きづら」い世間との唯一の架け橋となるのが、彼の恋人黒川徹子であった。英雄がてっこと呼ぶ彼女のおかげで、不貞の疑いに嫉妬心をかきたてられながらも、彼は「たったひとり」にならずにいた。
ある日、唐突に日常が崩壊する。混乱した状況で頭の麻痺した彼は、自らの手で恋人てっこの命に終止符を打った。
都心からひたすら逃避を続け、深夜の樹海で、罪の意識と「たったひとり」になった孤独感に苦しむ英雄の前に、ひとりの少女が現れた。女子高生比呂美である。
崩壊した日常のなかで比呂美と行動するうち、ただ脇役として逃避するだけでない、別の自分を自覚した英雄は、比呂美の強い意思にとまどいながらも、彼女の中に自分と同じ心の傷を見出いだす。
主人公鈴木英雄は、作者自身をモデルとしており、彼のペンネーム「鼻糞林檎」は、もちろん作者名「花沢健吾」のもじりである。着衣や所持品、趣味もかなりの程度共通しているらしい。ただし銃については不明。
トマト嫌いなところや、下ネタが大好きなところも作者と共通であり、また、登場する女性の目の下のホクロや黒髪ストレートヘアにも、作者の好みが反映されているようだ。ホクロはともかく、同じアシスタント時代に金髪だった徹子が黒髪に戻したのは、英雄の好みによるものであろう。
英雄の語る漫画論にも作者の思想が反映されているとみて間違いないだろう。
英雄の『推理漫画ってトリックありきでつまらないでしょ?人間味のある犯人を描きたくて…』というセリフも、推理漫画をゾンビ漫画・ホラー漫画、トリックを恐怖・残酷描写、犯人をゾンビ(あるいは登場人物)と置き換えれば、そのまま本作執筆についての決意表明と思えてしまうのは筆者の勝手読みだろうか?
ただ、そうした英雄の過剰とも思える「演説」も、ストーリー上、彼の性格の描写として成立する範囲内のものであり、作品構成を歪めるものとはなっていない。
[三つの妄想]
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[心の問題]
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作中で英雄は、なんらかの精神疾患、もしくは精神障害をかかえる人物として描かれている。それらは日常生活に支障を来たすほど重度の症状ではないが、周囲との意思疎通にいささかの困難さをもたらしている。
しかし、これらの症状は英雄の行動を規定する重要なパーソナリティでもあり、また、ストーリの進行にも重要な役割を果たすものともなっている。
・
強迫性障害
(旧称:強迫神経症)
社会秩序が崩壊しつつあるにも関わらず、法規に拘泥し、すでに受取り手のいない電車賃やタクシー料金を支払おうとし、あるいは車中マナーを守ろうとする。こうした英雄の過剰とも言える順法意識・規範意識の高さは、強迫性障害者に共通の性格である几帳面さ・生真面目さの表れであろう。
また、部屋の鍵を入念にチェックしたにも関わらず、戻ってきて再度確認するなどの行為は、この障害の症状の一つ「
確認強迫
」であると思われる。
・
統合失調症
(旧称:精神分裂病)
英雄の幻覚(幻視)、妄想、および独言は、統合失調症に多く見られる症状である。
ただし英雄はこうした症状を自覚しており(念慮)、日常生活に重度の支障を来たすほどではない。
統合失調症における幻覚の中でも、幻視が生ずることは極めて希であるが、英雄が深夜に襲われる異形のものたちの姿は英雄に見えているように描かれており、幻視であると思われる。
一方、後輩矢島や、仕事場や徹子の前での実際には行われていない「会話」や「演説」(ときに独言を伴う)は、マンガ表現上描かれてはいるものの、英雄の心の中での「妄想」であると思われる。
※
漫画内では、こうした英雄の妄想は、英雄が現実に向き合うにつれ、徐々に消えていくように描かれていますが、実際の精神疾患の症状が同様の経緯で治癒していくものなのかどうかは管理人の知識では判断が付きません。
また、強迫性障害と統合失調症の症状が併合しうるものかどうかも、よくわかりません。
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