アイアムアヒーローにまつわるエトセトラ

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比呂美 名前 早狩比呂美(はやかりひろみ)
年齢 16〜18歳?
登場 30話初登場。ただし指先と遠景のみ。本登場は31話。以降ほぼ全話に登場。
携帯機種au W52SA(色不明)
早狩比呂美は本作品のヒロイン。都内の女子高に通う小柄な女子高生である。右目下のホクロと、背中まで達する黒のストレートヘアを特徴とする。

音楽好きで、相対性理論やくるりなどを好んで聴く。

学校行事で山梨県富士吉田市を訪れ、深夜の樹海で英雄と出会ったときから彼女の運命は急変した。

彼女の姓の「早狩」は、全国で数百軒しかない珍しい姓であり、その大部分が東北地方、特に作者花沢健吾氏の出身地、青森県八戸市に集中する。作中では、岩手出身の彼女の母親の姓である。

名前の「比呂美」は、主人公英雄と同様、タイトルにかけたものであり、ヒーロー、もしくはヒロインの音にかけたものであろう。あだち充作『H2』の主人公比呂とライバル英雄の名前との関係を意識したと思われる。

英雄と比呂美

父親はおらず、母親は入院中。現在(66話)までのところ、ほかに同居する家族がいるかは不明である。

61話の背景に家族写真が描かれたコマがある。極めて不鮮明にしか描かれてないが、そこに写っているのは、おそらく比呂美と両親、弟、それに幼児の五名。つまり撮影の時点では五人家族であった。

写真に写っている比呂美は、それほど幼くはなく、中学生くらいに見える。したがって父と別れたのは比較的近年のことであろう。父親と死別したのか、それとも父と母が離婚したのかは66話現在、語られていない。母方の姓を名乗っていることから判断すると、後者である可能性が高いだろう。

5巻表紙の比呂美の背景に描かれている墓には、父方の姓であろうか、「神谷家之墓」と刻まれている。

61話に登場するあるものに対して、比呂美は思慕と激しい憎しみを示した。そのあるものは紗衣のシンボルであろうか。それとも、自宅の中に登場すること、そして比呂美より二周りは大きいことを考えれば、むしろ父親のシンボルであろうか。後者であるとすれば、比呂美は父親に対しても、愛憎入り混じる複雑な感情を抱いていることになる。

43話の英雄と比呂美の会話の一端から、比呂美は大人一般に対して冷めた感情を持っていることが伺える。高校生の生活圏では、両親を除けば、最も身近な大人は教師たちであろう。

比呂美は級友のイジメの対象となっていた。彼女の手首のリストカット跡(40話)がその結果であるならば、「大人」は彼女の助けにはならず、あるいは彼女を見捨てたのかもしれない。

43話で、英雄もまた彼女を見捨てる側の大人であると誤解した彼女は、英雄と距離を置いた。だが、口論の末、英雄もまた彼女と同じ側でじたばたしている人間だと認識した比呂美は、徐々に英雄に対して心を開いてゆく。

それでも、あまりに頼りなく優柔不断で、かつ融通の利かない英雄の性格に、比呂美は時に歯がゆさを感じ、不満を示すのだった。

比呂美の舌打ち

形式やルールにこだわらず、現実に柔軟に対応する比呂美の性格は、英雄とは正反対のものである。

比呂美は、良く言えば自からを頼む心が強く、他人に流されるのを潔しとしない。悪く言えばそれは協調性にかけていることを意味し、おそらくそういう性格が、級友にイジメられる原因となったのであろう。

彼女をイジめていたのは、級友の紗衣をリーダーとするグループであった。実際に紗衣自身が比呂美へのイジメ行為をしたかどうかは不明だが、比呂美の心の中には紗衣へのあこがれや友情とともに、強い憎しみが存在していた。

比呂美はときに鋭い洞察力を見せる一方、ときに人の気持ちを察することが不得手である。紗衣が、その生涯の最期に、混濁した意識の中で懸命に伝えようとしたメッセージは、おそらく比呂美の心に届かなかったようだ。

比呂美には真司君と呼ぶ交際中の彼氏がいる。林間学校へ来ていた彼女の携帯へも、異変の直前までメールが送られ続けていた。しかし真司のメールは、比呂美はただの風邪と思っただろうが、zqn症状への感染を伺わせる内容であった。

彼女の恋愛感情はストレートであり、「男と話すな」という真司の言いつけを守ろうとする。男性との身体的接近に対しては特に過敏であり、「近い近い」と拒もうとする。

彼女を襲った過酷な運命のもとでも、比呂美は心の中に、真司への強い想いを保ち続けていた。

真司くんは…



本作では、ヒーロー英雄とヒロイン比呂美は対照的な扱われ方をする。

英雄が物語の最初からほぼ全話登場し、主役をつとめているのに対し、ヒロイン役の比呂美は、2巻表紙を飾ったにもかかわらず、実際に登場したのは3巻後半、30話になってからであった。

英雄が、その間、おおざっぱに言えば一貫して自省と逃避の間を往復していたのに対し、比呂美の運命は激しく揺さぶられる。

そこには、読者の視線を比呂美に集め、読者の心が比呂美に魅かれて行く構成上の工夫が巧みに仕組まれている。

徹子の異形化に始まって、2巻から3巻へと恐怖とパニックが連続し、3巻中盤からは一転して英雄の内省シーンとなる。

比呂美が登場したのは、暗く沈んだ物語が、樹海の中に溶暗しかかる瞬間であった。まさに暗闇の舞台にスポットライトが当てられたように、比呂美は登場した。

4巻から5巻にかけ、比呂美の人物像は、登場時の典型的・理想的なヒロイン像から、欠点も未熟なところもある、リアルで普通に近い女子高生像へと肉付けされていく。

読者の中に比呂美の像がくっきりと焦点を結んだ瞬間、虚をつくように過酷な運命が比呂美を襲う。

そうして読者は、そこでいったん、激しい喪失感を味わうことになるのである。

マスク比呂美


[66話現在 2010/02/14]
[66話現在 2010/02/17 小更新]
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