本サイトは2010年4月10日に開設し2012年秋に閉鎖したサイトです。「アイアムアヒーロー」映画化記念で期間限定公開中です。


サイト内の記事は連載当時に管理者個人の解釈で書かれたものであり、現在のストーリーとは矛盾していたり、一般的な解釈とは異なっている点があります。また現在の管理者自身の解釈とも異なっている点もありますが、手を入れず掲載しています。


現在はブログ「黒くないすべてのものはカラスではない」に内容を引き継いでいます。


アイアムアヒーローにまつわるエトセトラ

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 There're counter ZQNs
作品について

『アイアムアヒーロー』は、突如世の中にゾンビ現象が広がっていくホラーサスペンス描写を背景に、主人公鈴木英雄(35歳)とヒロイン早狩比呂美(女子高生)の樹海での偶然の出会い、逃避行、および二人の心理を克明に描いた作品。


[目次]


[概略][Top]

著者花沢健吾氏にとって本作は、『ルサンチマン』(全4巻)、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(全10巻)に続く三作目の長編連載漫画。小学館「週刊 BIG COMIC スピリッツ」2009年22&23合併号(4月27日発売号)より連載中。2011年4月21日現在、連載は不定期の休載をはさみながら72話まで進み、単行本は5巻まで発売されている。6巻は5月30日発売予定。

漫画内では、第1話が2009年4月27日深夜に始まり、72話の5月10日夜まで、13日が経過している。ゾンビという言葉は作中では一切使われておらず、感染者の呼称には、作中のネットジャーゴンに由来するZQN(ゾキュン?)という言葉が使われている。

構成上は、パニックの発生、主人公とヒロインの描写、そして二人が行動をともにするまでを描いた54話までが序章となり、日本中にzqn現象が蔓延していく様を描いた55話から57話までのインテルメディオをはさんだあと、57話終盤からいよいよ本章に突入し、zqn社会で生き延びていく二人の物語が描かれてゆく。



主人公英雄とヒロイン比呂美は、共通して周囲との人間関係に苦しみ心の傷を負っていた。そしてパニック下の混乱のもと、共通して、自分にとって重要な存在である人物の命を自らの手で絶つという行為をしいられる。

同じ心の傷と罪の意識を抱えた二人は、混乱の中を逃げ惑い、時に過酷な運命に翻弄されながら、少しずつ互いの理解と関係を深めていく。


[ZQN][Top]

ZQN[1]は、死んだ人間が再び生き返って活動するといういわゆるゾンビとは異なり、(おそらくは)ウイルス性の感染症に感染した「生きた」人間と思われる。zqn感染者に噛みつかれてウイルスが体内に侵入することにより即座に、もしくはインフルエンザ類似の初期症状と潜伏期間を経た後に発症する。

zqn感染者は、精神活動が極度に低下し、情動、それも通常は激しい攻撃衝動を伴った情動にのみ突き動かされて行動する。

またzqn感染者の運動能力は、身体能力の限界、あるいは限界を超えるレベルまで引き出される。そのため、肉体がそれに耐えられず損傷、あるいは破断してしまうこともある。ZQNが往々にして不自然な姿勢で運動するのは、おそらくそうした身体の内部損傷ゆえと思われる。ZQNの攻撃衝動と攻撃力の対象はおもに健常者に向かい、結果として急激に感染を広げる。

zqn感染者は、身体的破壊や痛覚に対して強い耐性があり、あるいは鈍感であり、手足、あるいは下半身を欠損しても活動を続ける。感染後であれば首を吊ったり、水中に沈められても仮死状態で生命活動を維持でき、発症後、ZQNとなって活動する。ZQNの活動を止める(殺害する)唯一の手段は頭部の破壊、もしくは切断である。


[英雄][Top]

主人公鈴木英雄は漫画家アシスタント。幼少時より周囲からの疎外感を感じ、あるいは実際に疎外されてきた。

「英雄」という名前ゆえであろうか。自分の人生において主役になりたいという思いと、結局脇役であり続けたという挫折感が常に彼の中で交錯している。「アイアムアヒーロー」という彼のつぶやきは、時に自身を揶揄する響きを帯びる。

英雄には、強い規範意識・道徳意識があり、それは固定観念の域に達している。規範も道徳も要求されないような状況ですら、そうした意識を脱ぎ捨てることができない。

また、ブランド志向が強く、上から下までブランド品を着用しており、それを自信の支えとしている。漫画家として連載していた時期の蓄えであろうか、暮らし向きは比較的裕福で、中古でも一丁数十万するような散弾銃や、そのための高価なセキュリティシステムを部屋に設置している。デジタルガジェットやアウトドアグッズにも関心を持つ。

しかし彼が漫画家として過ごしたのは、単行本「アンカットペニス」全二巻の連載期間のみであった。連載が打ち切られたあと、漫画家松尾先生のアシスタントになる。その職場で、英雄と、英雄の漫画の唯一の理解者である徹子と知り合った。

道の真ん中に落ちていたキャベツを拾った晩から二人は親密な関係となる。徹子は、臆病な英雄を怖がらせるイタズラを大変に好み、また酒に酔っては英雄に絡むのであった。

一方英雄は、不遇なアシスタント生活に倦み、職場での人間関係にも溶け込めず、また、徹子に対しては不貞の疑いに煩悶する。そんな英雄の唯一の心の逃げ場は、妄想の世界であった。

英雄の第一の妄想は、独り言と白昼夢の世界である。職業柄か、豊かな想像力のおかげで彼の白昼夢は明瞭な幻視を伴う。第二の妄想は、これも幻視を伴う妄想上の人格、「後輩矢島」である。矢島は、常に英雄への共感者として彼の話し相手となる。

彼の第一の妄想、独り言と白昼夢は、コントロール可能な随意妄想である。好きなときにその妄想に逃げ込むことができる。第二の妄想、後輩矢島は、ある程度コントロールが可能な、半随意妄想である。周囲に自分への共感を投影できないとき、あるいは自分自身の考えに確信を持てなくなったとき、妄想矢島は姿を消す。神社の群集の中に、自分への共感を錯覚した一瞬だけ、矢島の姿が群衆の中に垣間見えた。

彼の第三の妄想は、コントロール不能な不随意妄想である。現実逃避としての彼の妄想チャネルを逆流し、侵入してくる忌むべき現実と他者のシンボル。それが異形の姿となって現れ、彼を襲う。その幻視は深夜や暗闇など、絶対的孤独に襲われたとき、英雄の前に訪れる。ゆえに深夜と暗闇は、英雄にとって恐怖以外の何者でもない。

彼は、国家公安員会の許可を得た散弾銃を所持している。猟銃の免許は持っておらず、趣味としての標的射撃用の銃である。腕前は不明。しかし第一話で示されたとおり、散弾銃は彼の拠り所であり、また本作品において、物語り全体の支点ともなっている。

都心パンデミックとなった日の朝、最愛の徹子がZQNに変貌した。徹子のメッセージを受け止め切れず、英雄は自らの手で徹子の首を切断した。


[比呂美][Top]

ヒロイン早狩比呂美は、都内に住む女子高生。

比呂美は、少女らしい思いやりと正義感を有しているが、ときにそうした建前を捨て去り、法や道徳にこだわらず柔軟に現実に対応する。

意外にもブランド品に興味を持っており、のちにポロリとその本音がかいまみえた。現在は父親との離別(もしくは死別)と母親の入院によって経済的困窮状態にあるらしく、隠された運動靴をすぐに買いかえることもできなかった。

高校のクラスで比呂美は、紗衣たちのグループにより、イジメの対象とされる。比呂美の左手首には、リストカット跡があった。

都心パンデミックとなった日、比呂美のクラスは林間学校で富士吉田市を訪れていた。林間学校前日と林間学校の夜との、紗衣の矛盾した態度に比呂美は激しく思い悩む。そんな比呂美の唯一の心の逃げ場は、彼氏である真司君との繋がりであった。

樹海にも感染が広がって来た日の夜明け、紗衣がZQNとなって比呂美の前に現れた。紗衣のメッセージを受け止め切れず、比呂美は、なかば偶発的に紗衣を射殺してしまう。


[表題他][Top]

[関連作品][Top]

[技法][Top]


※1 本サイトでは、感染者を指すときはZQNと大文字で表記し、感染症やウイルス、症状について述べるときはzqnと小文字で表記します。

[72話現在 2010/04/22]

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